皆さんこんにちは。風珀堂書房の田中 湧人です。
今日は、函館市内から車で30分、七飯町との境界付近に広がる「函館かまくらビレッジ」をご紹介します。この冬オープンした、冬季限定のキャンプ場です。
地元の除雪チーム「白熊組」が、厄介者扱いされる雪を活用して新たな冬の観光を生み出したいと企画した同施設。大小のかまくらが10基ほど立ち並びます。
代表の三浦雪男さんは「今年は函館も雪が少ないですが、この辺はよく雪が降るんですよ。普段は大変ですが、かまくら作りには最適な環境です」と笑顔で話してくれました。
かまくらの中で寝られます
かまくら内部は意外なほど快適。空気の層を多く含んだ雪が天然の断熱材となり、外気温がマイナス10℃に下がっても内部はプラス3℃以下に下がらないのだとか。
雪を削って作ったベッドにはふかふかのウレタンマットが敷かれ、断熱性も十分。透明度の高い氷の上にランタンが灯され、夜になると幻想的な光の空間が広がります。雪は遮音性も高いので、目を閉じれば静寂の世界が広がります。
お風呂もかまくらの中に
最大の目玉は「雪華の湯」と名付けられた男女別の共同浴場。直径10mのかまくらのてっぺんに天窓があり、冬の星座を仰ぎながらお風呂に浸かることができます。厚さ30cmの氷でできた湯船には、キャンプ場内から湧き出す温泉が絶え間なく注いでいます。
氷が解けてしまわないんだろうかと心配になりましたが、氷の湯船の下に冷却装置を埋め込んであるのだとか。「お湯の熱さと氷の冷たさの絶妙なバランスで均衡を保っているので大丈夫ですよ」と三浦さん。
よく分かりませんが、たぶん旅館で出てくる「紙鍋」が燃えないのと同じ理屈なんじゃないかと思います。違うかな。
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雪の楽器が奏でる夜の調べ
午後8時、宿泊者限定の特別な時間があります。管理棟裏の「雪の円形劇場」で行われる氷琴コンサートです。高さ2mの氷柱を特殊なハンマーで叩くと、雪原に透明な音色が響き渡ります。
「氷を形成している結晶の配列の違いが音色を変えるんです」と三浦さん。演奏が進むにつれ、結晶が振動で共鳴して不規則に光を放つ「発光現象」が起き、氷柱内部で星座のように輝きだす光景は、まさに冬の魔法。ぜひ皆さんもその目で確かめてみてください。

朝、雪のベッドで目覚めた時の感覚が忘れられません。外はマイナス10°Cの世界なのに、吐く息が白くならないほどの温もり。小さな天窓から差し込む朝日が、かまくら内部の雪の表面をダイヤモンドのようにきらめかせていました。今シーズンの営業期間内にもう一度泊まってみたいと思っています。
所在地:函館市北雪町20
営業期間:1月~2月
宿泊料:1人1泊9,500円 バーベキュー用食材の予約可
